[PR]
2025年07月02日
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
頂き物:斑目様
2010年03月30日
[2009/06/25 Thu]
ぎゃああぁぁぁシエウィル!!!gross rouge(サイトは閉鎖されました)/斑目さんから誕プレに頂きました!!!
女子部設定のシエウィルで、数年後で坊ちゃんが大学生になっています!ホギャー!!!誕生日って素晴らしい(笑)
ぎゃああぁぁぁシエウィル!!!gross rouge(サイトは閉鎖されました)/斑目さんから誕プレに頂きました!!!
女子部設定のシエウィルで、数年後で坊ちゃんが大学生になっています!ホギャー!!!誕生日って素晴らしい(笑)
--------------------
その涙を奪いたい
妹の出産。産声をあげた赤子を前に涙したウィリアムは、元教え子であるシエルにメールを送った。件名に赤ちゃんが、と打ったはいいが本文を忘れ、何かあったのだろうか、と気になったシエルは大学の講義を抜け出し急ぎその場へ駆け付ける。そこで目にした自分の執事夫婦の姿に込み上げる何かよりも、殊更気になったのは本来ならば夫婦がそうなる筈の、泣き崩れたウィリアムの姿だ。自身が父親になった訳ではないというのに、この泣きようはなんだ。
ひとつ小さく溜め息を吐き、まるで子供のようにしゃくりあげるウィリアムに、シエルは歩み寄る。
「おい」
眼鏡を外し涙を拭うも止まらず溢れ出すそれと感極まった感情の所為か、聞こえてはいるのだろうがウィリアムは返事が出来ずにいた。シエルの声も、片耳から入りはしても反対から抜けてしまっているようにも思える。
「ウィリアム」
肩に手を置き自分のほうに向かせるが、ウィリアムは下を向いたままただ泣き、ただ嗚咽を漏らしているだけ。
もうひとつ溜め息を吐き、乱雑に手の甲で涙を拭うウィリアムの手を掴み、シエルは自分の親指で下瞼を濡らす塩水を拭ってやる。そこで漸く顔を上げたウィリアムは、裸眼の視力と涙で歪む視界の先にあるシエルの顔を目を細めて見た。
「…」
「酷い顔だな。赤ん坊にまで笑われるぞ」
言って、微笑みかける。
泣いてしまいのも仕方がない。この病院で出産に挑めば恐怖と絶叫が待っているのだとシエルは知っている。実際に立ち合っていなければ、痛みと苦しみで声をあげていると思っても仕方がないのだ。ウィリアムも分娩室の外で妹の声を聞いたのだろうと簡単に想像はついた。
実家が葬儀屋である男が助産師である此処は、地元では有名だ。助産師だが葬儀屋と呼ばれる男が担当につけば、葬儀屋の圧倒的な気迫と一風変わった風貌からかその表情と物言いに恐怖と驚愕を抱き、叫び声をあげ、そうしている間に赤子が産まれている。一部では名医だと持て囃されているが、異を唱える者も少なくはない。
ウィリアムの涙を唇で掬い取り、落ち着かせようと接吻をする。周りの目など、シエルは気にも留めなかった。
「もう泣くな」
「…しかしっ」
「お前も叔父になったんだ」
「……」
「…なんだ」
「その呼び方はやめて頂きたい」
叔父と言われた事でぴたりと泣き止んだウィリアムが、いつもの表情と調子を突然取り戻したようにぴしゃりと言い放つ。目を赤く腫らし、そんな目できりりと睨まれてもこわくもなんともない。
「いずれ叔父さんと呼ばれるんだろうな」
「呼ばせません」
頑なにそれを拒むウィリアムに、まあいいとシエルは呟き、腕を掴み引きながらその場から離れる。抗う声と言葉を無視し院内の廊下をひた進み、曇り空の下に出た。今にも雨が降り出してきそうな天候のもと、シエルは連絡し待たせていた車の中へとウィリアムを押し込む。
「私はまだ…」
「気を利かせてやれ」
言われ黙り込んだウィリアムとシエルの視界に、駅から小走りで執事夫婦の所へと向かっているのだろうウィリアムの両親が入る。自分もまた其処へ行きたいと言いたげな視線を送るウィリアムに、シエルは何も言わず一本のワインを取り出した。
酒が入ると泣き上戸になる事は知っていた。だが折角の祝いの日だと、シエルはそれを勧めたのだ。勿論それだけではない。放っておけば走る車から飛び降りてでも戻って行きそうなウィリアムの気を逸らす為でもあった。
産まれたばかりの赤子の姿を思い出し、妹の叫び声を思い出し、様々な想いが綯い交ぜになっているといった泣きように、腕を支え何年も時を共にしたシエルの自室へとウィリアムを入れる。
「流石に鬱陶しい…」
小さな呟きはウィリアムの耳には入らず、覚束ない足取りでベッドに腰を降ろしたウィリアムは、隣にシエルが座った事もぼんやりと認識しただけだった。
未だ名も知らぬ赤子を想うあまり自分の存在が薄れてしまっている。仕方のない事だ。理解している。しかし、あまりに薄すぎる。隣を占領し続けたにも関わらず、確かに関係にしっかりとした名称がないままであるとはいえ、もっと此方を見てもいいのではないかと。思ってしまった。
植え付けたい。自分の存在を。もっともっと貪欲に。
(まだ足りなかったんだ。こいつには、いくら植え付けたつもりになっても…まだ)
けれど、きっと今は何もしてはいけない。子供だからわからないなどと、もうそんな事が言える歳ではないのだ。子供らしくないと言われてきたが、それ程大人になれてもいないというのに。
シエルは拳を作り自分の思いを押し殺した。まだ時間はある。仕事でもウィリアムは自分のもとに居る。焦るな。
赤子にまでか、と自嘲しながら、未だ泣き続けるウィリアムに、再びくちづけを。
その涙を奪いたい
*****************************
あの妄想を形にして下さって、しかも誕プレに下さいまして、ほんとにありがとうございます…!!!例の焼きもちエロスもそのうち書いて下さるに違いない!と信じてますー!!!むふむふ
その涙を奪いたい
妹の出産。産声をあげた赤子を前に涙したウィリアムは、元教え子であるシエルにメールを送った。件名に赤ちゃんが、と打ったはいいが本文を忘れ、何かあったのだろうか、と気になったシエルは大学の講義を抜け出し急ぎその場へ駆け付ける。そこで目にした自分の執事夫婦の姿に込み上げる何かよりも、殊更気になったのは本来ならば夫婦がそうなる筈の、泣き崩れたウィリアムの姿だ。自身が父親になった訳ではないというのに、この泣きようはなんだ。
ひとつ小さく溜め息を吐き、まるで子供のようにしゃくりあげるウィリアムに、シエルは歩み寄る。
「おい」
眼鏡を外し涙を拭うも止まらず溢れ出すそれと感極まった感情の所為か、聞こえてはいるのだろうがウィリアムは返事が出来ずにいた。シエルの声も、片耳から入りはしても反対から抜けてしまっているようにも思える。
「ウィリアム」
肩に手を置き自分のほうに向かせるが、ウィリアムは下を向いたままただ泣き、ただ嗚咽を漏らしているだけ。
もうひとつ溜め息を吐き、乱雑に手の甲で涙を拭うウィリアムの手を掴み、シエルは自分の親指で下瞼を濡らす塩水を拭ってやる。そこで漸く顔を上げたウィリアムは、裸眼の視力と涙で歪む視界の先にあるシエルの顔を目を細めて見た。
「…」
「酷い顔だな。赤ん坊にまで笑われるぞ」
言って、微笑みかける。
泣いてしまいのも仕方がない。この病院で出産に挑めば恐怖と絶叫が待っているのだとシエルは知っている。実際に立ち合っていなければ、痛みと苦しみで声をあげていると思っても仕方がないのだ。ウィリアムも分娩室の外で妹の声を聞いたのだろうと簡単に想像はついた。
実家が葬儀屋である男が助産師である此処は、地元では有名だ。助産師だが葬儀屋と呼ばれる男が担当につけば、葬儀屋の圧倒的な気迫と一風変わった風貌からかその表情と物言いに恐怖と驚愕を抱き、叫び声をあげ、そうしている間に赤子が産まれている。一部では名医だと持て囃されているが、異を唱える者も少なくはない。
ウィリアムの涙を唇で掬い取り、落ち着かせようと接吻をする。周りの目など、シエルは気にも留めなかった。
「もう泣くな」
「…しかしっ」
「お前も叔父になったんだ」
「……」
「…なんだ」
「その呼び方はやめて頂きたい」
叔父と言われた事でぴたりと泣き止んだウィリアムが、いつもの表情と調子を突然取り戻したようにぴしゃりと言い放つ。目を赤く腫らし、そんな目できりりと睨まれてもこわくもなんともない。
「いずれ叔父さんと呼ばれるんだろうな」
「呼ばせません」
頑なにそれを拒むウィリアムに、まあいいとシエルは呟き、腕を掴み引きながらその場から離れる。抗う声と言葉を無視し院内の廊下をひた進み、曇り空の下に出た。今にも雨が降り出してきそうな天候のもと、シエルは連絡し待たせていた車の中へとウィリアムを押し込む。
「私はまだ…」
「気を利かせてやれ」
言われ黙り込んだウィリアムとシエルの視界に、駅から小走りで執事夫婦の所へと向かっているのだろうウィリアムの両親が入る。自分もまた其処へ行きたいと言いたげな視線を送るウィリアムに、シエルは何も言わず一本のワインを取り出した。
酒が入ると泣き上戸になる事は知っていた。だが折角の祝いの日だと、シエルはそれを勧めたのだ。勿論それだけではない。放っておけば走る車から飛び降りてでも戻って行きそうなウィリアムの気を逸らす為でもあった。
産まれたばかりの赤子の姿を思い出し、妹の叫び声を思い出し、様々な想いが綯い交ぜになっているといった泣きように、腕を支え何年も時を共にしたシエルの自室へとウィリアムを入れる。
「流石に鬱陶しい…」
小さな呟きはウィリアムの耳には入らず、覚束ない足取りでベッドに腰を降ろしたウィリアムは、隣にシエルが座った事もぼんやりと認識しただけだった。
未だ名も知らぬ赤子を想うあまり自分の存在が薄れてしまっている。仕方のない事だ。理解している。しかし、あまりに薄すぎる。隣を占領し続けたにも関わらず、確かに関係にしっかりとした名称がないままであるとはいえ、もっと此方を見てもいいのではないかと。思ってしまった。
植え付けたい。自分の存在を。もっともっと貪欲に。
(まだ足りなかったんだ。こいつには、いくら植え付けたつもりになっても…まだ)
けれど、きっと今は何もしてはいけない。子供だからわからないなどと、もうそんな事が言える歳ではないのだ。子供らしくないと言われてきたが、それ程大人になれてもいないというのに。
シエルは拳を作り自分の思いを押し殺した。まだ時間はある。仕事でもウィリアムは自分のもとに居る。焦るな。
赤子にまでか、と自嘲しながら、未だ泣き続けるウィリアムに、再びくちづけを。
その涙を奪いたい
*****************************
あの妄想を形にして下さって、しかも誕プレに下さいまして、ほんとにありがとうございます…!!!例の焼きもちエロスもそのうち書いて下さるに違いない!と信じてますー!!!むふむふ
Comment